宅地建物取引士 (権利関係)制限行為能力者・意思表示 その1
宅地建物取引士の資格試験の勉強をしています。
権利関係 1章(制限行為能力者・意思表示)
勉強内容のまとめ
制限行為能力者・意思表示
・制限行為能力者
民法は判断力の不十分な人を「制限行為能力者」(自分一人では契約できない人、という意味)とし、このような人に契約を自由に取り消す権利を与えて保護することにした。
・無効と取消しの違い
無効
はじめから、全く何の効力も生じない。つまり、何も言わなかったのと同じこと。
取消し
取り消されるまでは一応有効だが、取り消されると、はじめから無効だったことになる。
第1節 制限行為能力者
・未成年者
原則:未成年者が法定代理人(親権者か未成年後見人のこと)の同意なしに自分一人で勝手にやった契約は取り消せる。
例外:法定代理人から営業を行うことを許可された場合には、その営業に関する契約は、いちいち法定代理人の同意を得なくても未成年者が自分一人で自由にやることができ、取り消せない。
・未成年者とは
未成年者とは、18歳未満の人のこと。ただし、婚姻(結婚のこと)すると18歳未満でも成年者とみなされることになっている。
・保護者は
未成年者の保護者は親。親のことを民法では親権者と言っている。
世の中には親がいない子供もいる。そういう場合には、未成年後見人という保護者が付けられることになっている。
同意権
未成年者が法定代理人の同意を得てやった契約は完全に有効で、取り消せないことになっている。
追認
事後承認のこと。追認すると、取り消し得る契約がはじめから完全に有効だったと確定する。
契約の当初にさかのぼって有効になる。
・成年被後見人とは
世の中には、重い精神障害のために、それこそ1億円と1円の区別もつかないような人が実在している。そういう人を保護するために家庭裁判所が「この人を成年被後見人とします。」という審判(これを後見開始の審判という)をする。
成年被後見人とは、
精神障害のために判断力(正式には事理を弁識する能力という)を欠く常況で、後見開始の審判を受けた人のこと。
「取り消せる」とは
成年被後見人という人は未成年者よりも、もっと判断力が弱い人である(判断力ゼロ)
たとえ成年後見人の同意を得た上でやった契約であっても取り消せることになっている。
できるのは、日用品の購入等の日常生活上の契約だけである。
その他
成年後見人が、成年被後見人の居住している建物・敷地の売却・賃貸借・抵当権の設定を行うには家庭裁判所の許可が必要である。
・被保佐人
被保佐人が、保佐人の同意なしに自分一人で勝手に次の契約をした場合には、その契約を取り消せる。
①土地の売買・5年を超える賃貸借
②建物の売買・3年を超える賃貸借・増改築等の発注
③高額商品の売買(タバコ1箱なら取り消せない)
④借金をしたり、保証人になること
⑤贈与をしたり、贈与の申し出や遺贈を断わること
⑥①~⑤の行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること
被保佐人は、独り立ちはちょっと無理とは言っても、未成年者や成年被後見人よりはしっかりした人(一人前に近い能力を持った人)である。被保佐人には、未成年者や成年被後見人に比べると保護の必要が少ない。
ただ、一定の重大な契約(大損する恐れのある契約)をするときだけは保佐人の同意を得なければならず、同意なしにやった場合には取り消すことができる。
被保佐人は、同意なしにやった大損する契約だけ取り消せる。
・未成年者・成年被後見人・被保佐人に共通する問題点
制限行為能力者が、「私は行為能力者です。」とウソをついて契約した場合には、契約を取り消せなくなる。
制限行為能力者には、この他、被保佐人より一段と一人前に近い行為能力を持つ被補助人という人がいる。
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